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胃・十二指腸の病気(胃潰瘍・胃がんなど)

食べ物は食道を通過した後に、胃や十二指腸(胃と小腸を繋ぐ消化管)に流れ込みます。様々な病気がありますが、ピロリ菌が関与するものが多いです。

以下の疾患は、胃カメラで早期発見が可能です。また再発することもあるため、定期的なチェックをを受けていただくことをお勧めします。

ヘリコバクターピロリ菌(Helicobacter pylori、ピロリ菌)感染症

概念:体長約3μm、幅約0.5μmの細菌で、多くは胃粘膜に感染して、粘膜に強固に粘着している。

原因:多くは母子感染と考えられている。

症状:感染していること自体では、特に自覚症状を認めないことが多い。しかしながら、ピロリ菌感染が原因で様々な疾患を引き起こし、これにより症状が出現する。

治療と注意点:感染診断は、迅速ウレアーゼ試験(胃カメラで胃粘膜を採取して検査)、血清ピロリ菌抗体検査(血液で検査)、便中ピロリ菌抗原検査(便で検査)、尿素呼気試験(風船を膨らませる検査)などがあるが、患者さんごとの感染状態により最適な方法が選択される。ピロリ菌感染は慢性胃炎、胃十二指腸潰瘍、胃がんの原因となりうるため、除菌治療(内服治療)が推奨されている。

慢性胃炎・萎縮性胃炎

概念:ピロリ菌感染などにより、胃粘膜が慢性的に炎症を起こした病態を慢性胃炎という。それが長時間(数十年)継続すると、胃の粘膜が萎縮(粘膜が薄くなること)して萎縮性胃炎という状態になる。さらに萎縮が進むと、胃の粘膜が腸の粘膜のようになる腸上皮化生(ちょうじょうひかせい)という状態になる。

原因:ピロリ菌感染によるものが最多で80%とされる。

症状:胸やけ心窩部痛(しんかぶつう)胃もたれ悪心(おしん)・嘔吐腹部膨満感食思不振など。

治療と注意点:自覚症状がある場合は、胃酸分泌抑制薬を内服する。現在、ピロリ菌に感染している場合は、除菌治療を行う。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

概念:胃酸などにより胃・十二指腸粘膜に潰瘍(粘膜が削れた状態)を生じた病態。

原因:ピロリ菌感染と薬剤(痛み止めなど薬)が2大原因である。

症状:心窩部痛(しんかぶつう)胸焼け悪心(おしん)・嘔吐吐血(とけつ)など。

治療と注意点:自覚症状がある場合は、内服薬(胃酸分泌抑制薬)を内服する。現在、ピロリ菌に感染している場合は、除菌治療を行う。除菌治療を行わない場合、再発することがある。また重症化すると、出血性胃潰瘍や穿孔(胃に穴が開くこと)する可能性がある。

胃がん

概念:胃粘膜に発生する悪性腫瘍。

原因:ピロリ菌感染、慢性胃炎、萎縮性胃炎を経て発症することが多い。その他、高塩分食、喫煙などが原因とされる。

症状:早期がんは無症状なことが多く、検診などで偶然発見されることも少なくない。進行がんは食欲不振、吐血(とけつ)下血(げけつ)悪心(おしん)・嘔吐、体重減少など多彩である。

治療と注意点:早期がんであれば、より体に負担が少ない内視鏡的手術となることがある。進行がんであれば外科的手術、放射線療法、化学療法(抗がん剤治療)を行う。進行度により、治療方針や予後が大きく変化するため、早期発見と早期治療が重要である。

機能性ディスペプシア

概念:明らかな原因を認めないにもかかわらず、慢性的に腹部症状が生じる病態。

原因:消化管の運動機能障害や知覚過敏、心理・社会的影響、胃酸やピロリ菌感染など、多くの原因が存在し、互いに影響し発症に関与していると考えられている。

症状:胃もたれ心窩部痛(しんかぶつう)曖気(あいき)など。

治療と注意点:生活指導(ストレスの除去、規則正しい生活、暴飲暴食の是正、禁煙など)、内服薬。

胃ポリープ

概念:胃粘膜に何らかの隆起性病変(盛り上がった部位)ができる病態。

原因:加齢により増加するもの、ピロリ菌除菌により縮小するものなど、種類が多岐に及ぶ。

症状:無症状なことが多く、検診などで偶然発見されることが多い。大きなものは、まれに慢性的な微量な出血による貧血や通過障害(食べ物がとおりにくくなること)の原因となることがある。

治療と注意点:ポリープの種類(胃底腺ポリープ、過形成性ポリープ、腫瘍性ポリープなど)により、治療が必要か否かの診断を必要とする。胃底腺ポリープや、合併症を伴わない過形成性ポリープは、経過観察となる。過形成性ポリープはピロリ菌除菌により縮小・消退が期待できる。また、腫瘍性ポリープは内視鏡的手術が検討される。

胃アニサキス症

概念:体長約20~30mm、幅0.5~1mmの半透明で白色で細長い糸状の寄生虫で、胃の粘膜に食いつき、下記の症状を引き起こす病態。

原因:サバ、イカ、カツオ、サンマなどの生食。

症状:生食数時間後の激しい心窩部(しんかぶつう)悪心(おしん)・嘔吐、蕁麻疹等のアレルギー症状。

治療と注意点:胃カメラによるアニサキスの摘出、抗アレルギー薬の内服。

胃アニサキス症の予防としては、上記の生食の際には、目視で確認してアニサキス幼虫を除去する、-20℃で24時間以上冷凍する、60℃で1分以上加熱するなどの方法がある。

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