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大腸の病気(大腸炎・大腸ポリープ・大腸がんなど)

大腸大腸(盲腸、結腸、直腸)の病気には、各種の腸炎、大腸がんなどがあります。最近では、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎も注目されています。

感染性腸炎

概念:病原菌の腸管感染により、下記の症状を呈する病態。

原因:細菌、ウイルス、寄生虫などによる感染。原因となる食物摂取歴、感染経路(学校/職場、家族内発生の有無)、海外渡航歴、発症までの時間、便の性状・回数、その他の身体所見で原因菌を特定する。

症状:下痢腹痛悪心(おしん)・嘔吐、発熱など。

治療と注意点:対症療法(症状に応じた適切な治療)で軽快することが多い。安静、絶食、内服薬(整腸剤、ときに抗菌薬)、脱水があれば点滴など。

大腸憩室症

概念:腸管内の圧力の上昇により、腸管粘膜が腸管外に飛び出てしまう病態。

原因:便秘、肥満、加齢、食物繊維の少ない食事、喫煙など。

症状:一般的に無症状であるが、下記の憩室炎や憩室出血が発症すると、病気に応じた症状が出現する。

治療と注意点:無症状であれば経過観察。上記原因の改善。

・憩室炎:憩室に細菌感染が生じて、腹痛、発熱などが生じる病態。重症例では膿瘍(感染が増悪し、うみの塊ができること)や穿孔(大腸に穴が開くこと)を生じることがある。

・憩室出血:憩室から出血し、下血を生じる病態。経過観察で止血することが多いが、ときに出血が多量となり入院や輸血が必要になることがある。

過敏性腸症候群

概念:腸管に明らかな異常を認めないが、腹痛や便通異常(便秘や下痢)が続く病態。

原因:ストレスなどの心理的異常、生活の乱れを背景とすることが多い。

症状:便秘下痢腹痛、お腹が鳴るなど。

治療と注意点:生活指導(高繊維食の摂取、ライフスタイルの改善)、内服薬(消化管運動調節薬、プロバイオティクスなど)。

虚血性腸炎

概念:大腸動脈の末梢枝の閉塞や狭窄により、腸管粘膜の虚血性変化(血液が充分に供給されない状態)を示す病態。

原因:動脈硬化や高血圧症による微小な循環障害などによる腸間膜動脈の狭窄、便秘、加齢、糖尿病、心房細動、人工透析など。

症状:腹痛下血(げけつ)下痢、発熱など。 

治療と注意点:安静、絶食、点滴などの対症療法(症状に応じた適切な治療)で軽快することが多い。重症例は抗菌薬が用いられることもあり、まれに穿孔(大腸に穴が開くこと)を生じた場合は外科的手術が必要となる。病態が類似した疾患として急性腸間膜動脈閉塞症(より太い動脈が詰まってしまう病態)があるが、この疾患はより激しい腹痛や血便を伴い、外科的手術が必要となることが多い。

潰瘍性大腸炎

概念:主に大腸の粘膜と粘膜下層に、びらん(粘膜の表皮が剥がれ落ちてしまうこと)や潰瘍が生じる病態。

原因:腸内細菌の関与や本来は外敵から身を守る免疫機構が正常に機能しない免疫反応の異常、あるいは食生活の変化の関与などが考えられているが、明確な原因は未解明。

症状:腹痛下痢、発熱、体重減少、下血(げけつ)、全身倦怠感、貧血など。

治療と注意点:内科治療(薬物療法など)が主体。内科治療で治らない、大量出血が生じた、大腸がんを合併された、中毒性巨大結腸症となったなどのときは、外科治療が必要となる。

潰瘍性大腸炎を詳しく:10歳代~30歳代に好発するが、その他の年齢や性別でもみられる。おしりからすぐそばの直腸から連続してS状結腸、下降結腸、横行結腸、上行結腸に広がる傾向にあり、その病変の範囲で病型が異なる。ときに上記の場合は外科的手術(大腸全的術)を要し、人工肛門となることもある(軽快後に人工肛門閉鎖もありうる)。腸管以外の合併症(関節炎、目や皮膚の病気など)も引き起こすことがある。さらに発病後、7~8年すると大腸癌を合併するリスクが高くなってくるため、症状がなくても定期的な内視鏡検査が必要である。治療として薬物療法は従来からある5-アミノサリチル酸、副腎皮質ステロイド、免疫調節薬の他に、近年様々な薬剤が開発されており、最も進歩が目覚ましい分野のひとつある。症状の改善や消失(寛解)が認められたとしても、再発する場合も多いため、寛解を維持するために継続的な内科治療を要する。

クローン病

概念:口から肛門までの消化管の様々な部位に炎症や潰瘍が生じる病態。

原因:遺伝的要因を背景として、食事や腸内細菌に対して腸に潜んでいるリンパ球などの免疫を担当する細胞が過剰に反応して病気の発症、増悪にいたると考えられているが、明確な原因は未解明。

症状:腹痛下痢下血(げけつ)、発熱、全身倦怠感、体重減少、貧血など。

治療と注意点:内科治療(栄養療法や薬物療法など)が主体。狭窄による腸閉塞、穿孔、膿瘍形成などのときは外科治療が必要となる。

クローン病を詳しく:10歳代~20歳代の若年男性に好発するが、その他の年齢や性別でもみられる。小腸と大腸を中心として、非連続性の病変(病変と病変の間に正常部分が存在すること)を特徴とし、特に小腸末端部(小腸と大腸のつなぎ目あたり)が好発部位である。ときに狭窄(腸が著しく狭くなってしまうこと)、瘻孔(腸と腸が繋がってしまうこと)、穿孔(大腸に穴が開くこと)、膿瘍形成(感染が増悪し、うみの塊ができること)などの重篤な腸管合併症や、腸管以外の合併症(痔核、関節炎、口内炎、目や皮膚の病気など)も引き起こすことがある。病気の活動性が落ち着いていれば通常の食事が可能だが、食事による病態の悪化を避けることが重要である。薬物療法は従来からある5-アミノサリチル酸、副腎皮質ステロイド、免疫調節薬の他に、近年様々な薬剤が開発されつつある。自覚症状が消退していても、病気が進行していることがあり、再発予防のために治療を継続しつつ、定期的な検査により病気の状態を把握することが大切である。

急性虫垂炎(一般に“盲腸 もうちょう”と呼ばれている)

概念:虫垂が下記の理由で感染し炎症を引き起こす病態。

原因:糞石(便が石のように固くなってしまうこと)、食物残渣、その他で虫垂が閉塞し、さらに細菌感染が加わることで発症する。

症状:初期は心窩部痛(しんかぶつう)臍周囲痛(さいしゅういつう)を自覚し、次第に右下腹部痛へ移行する。悪心(おしん)・嘔吐や発熱を伴うこともある。

治療:絶食、点滴、抗菌薬投与。重症例は外科的手術を必要する。

腸閉塞

概念:何らかの理由で肛門へ便の輸送が障害された病態。

原因:腹部手術による癒着、大腸がん、何らか(クローン病、憩室炎など)の慢性炎症など。

症状:腹痛悪心(おしん)・嘔吐腹部膨満感、排ガスと排便の消失。

治療:絶食、点滴、チューブによる腸管内容物の吸引。重症例は抗菌薬が用いられることもあり、改善がみられない場合や腸管内の圧力の上昇による腸管粘膜の虚血性変化(血液が充分に供給されない状態)が生じた場合、重篤な状態へと移行するため、外科的手術を必要する。

大腸ポリープ

概念:大腸粘膜に何らかの隆起性病変(盛り上がった部位)ができる病態。

原因:遺伝的要因、加齢、高たんぱくや高脂肪食摂取、肥満、飲酒、喫煙など。

症状:無症状なことが多く、便潜血検査や検診などで偶然発見されることが多い。大きなものは、まれに慢性的な微量な出血による貧血や通過障害(食べ物がとおりにくくなること)の原因となることがある。

治療と注意点:ポリープの種類(過形成性ポリープ、腫瘍性ポリープなど)により、治療が必要か否かの診断を必要とする。過形成性ポリープは経過観察となる。腫瘍性ポリープやその他のポリープは生体検査(生検、病変の一部をとって行う病理検査)や内視鏡的手術がなされる。

大腸がん

概念:大腸粘膜に発生する悪性腫瘍。

原因:遺伝的要因、加齢、高たんぱくや高脂肪食摂取、遺伝的要因など。

症状:早期がんは無症状なことが多く、便潜血検査や検診などで偶然発見されることも少なくない。進行がんは下血腹痛便秘、便が細くなるなどをきたすことが多いが、発症部位により症状が異なる。

治療と注意点:早期がんであれば、より体に負担が少ない内視鏡的手術が適応となることがある。進行がんであれば外科的手術、放射線療法、化学療法(抗がん剤治療)を行う。進行度により、治療方針や予後が大きく変化するため、早期発見と早期治療が重要である。

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