大腸カメラ検査
正式には下部消化管内視鏡検査と呼ばれています。肛門から大腸カメラ(内視鏡)を挿入し、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸の観察を行う検査のことをいいます。内視鏡を使って、粘膜面の凹凸や色調を観察することにより、病気の診断をします。
大腸ポリープを認めた場合は、速やかに切除する日帰り大腸ポリープ切除手術を行います。この際、痛みはありません。その他の病気を疑った場合は、組織検査(組織を採取して顕微鏡でみる検査)や色素散布などで詳しく診断することがあります。
当院の大腸カメラの流れ
検査前日
【食事】
朝食、昼食、夕食は検査食を召し上がっていただきます。夕食は21時までに済ませて下さい。水分は水とお茶のみお飲みいただけます。
【薬】
便を柔らかくするお薬(マグミット毎食後1錠、プルゼニド眠前2錠)を内服していただきます。
血液をサラサラにする薬を内服されている方は、前日から中止となります。後で、看護師にお伝えください。それ以外の薬は普段通り内服して下さい。
検査当日
【食事】
検査終了まで絶食となります。前日同様、水分は水とお茶のみお飲みいただけます。タバコはお控え下さい。
【薬】
血圧の薬を内服されている方は朝7時までに服用して下さい。それ以外の薬は検査終了まで中止となります。なお、糖尿病の薬や注射は必ず中止して下さい。
【服装】
検査着に着替えますので、着脱しやすい服装でお越し下さい。検査中は眼鏡、義歯、アクセサリーなど金属のものは全て外していただきます。金具の付いた下着もお控え下さい。
必要に応じて下着、紙パンツ、靴下などの予備のご用意をお願いします。
【下剤の内服】
朝から液体の下剤 (腸管洗浄剤) を飲んで頂きます。下記に1例を示します。
検査当日に下剤を1000mLと透明な飲み物500mLを交互に飲んで頂きます。最大用量は合計2回(合計で下剤2000mL、透明な飲み物1000mL)飲んで頂きますが、便が透明になるまできれいになったら、適宜、終了は可能です。
*透明な飲み物とは、水、お茶、スポーツドリンク、具のない透明なスープ(コンソメスープなど)、透明なリンゴジュース、透明な色の炭酸飲料などです。なお、色の濃い飲み物、牛乳などの乳製品、果実や具の入ったジュースやスープ、アルコール飲料は適しません。
**腸の中がきれいになるまでおよそ2~4時間程度かかるので、例えば9時ぐらいから下剤を服用した場合は、12時過ぎからの検査となることが多いです。
検査
検査を楽に受けていただくために、ご希望の方には静脈から鎮静剤や鎮痛剤を使用します。検査時間は10~25分程度です。状況に応じて、ポリープ切除や組織検査を行います。
検査後
鎮静剤や鎮痛剤の効果がきれるまで、院内で1時間程度お休みいただきます。その後、医師から結果をご説明します。
検査後の注意点
検査当日のお食事は、大腸に負担のかかる食品(脂っこいもの、塩分の強いもの、辛いものや熱いもの、アルコール、コーヒーやお茶などのカフェインを多く含むもの)の摂取はお控え下さい。
検査後はおなら(ガス)を我慢せずにどんどん出してください。おならをしても改善しないような強い腹痛があらわれたときは、すぐにご連絡下さい。
中止したお薬のある方は、再開する日を看護師までお尋ね下さい。
鎮静剤や鎮痛剤をご希望の方
バス、電車、タクシーなどの公共交通機関または送迎でお越し下さい。ふらつきや判断力の低下がみられることありますので、検査当日は、車、バイク、自転車などの運転はお控え下さい。
顕微鏡検査(組織検査)、ポリープ切除した場合の注意点
検査後5日間はおかゆやうどんなどの消化のいい食事を心がけ、アルコール、激しい運動やお腹に力がかかる作業、運動や力仕事、長めの入浴(シャワーは可)、出張や旅行をお控え下さい。
検査当日や翌日は少量の血便が出る場合がありますが、血便が続いたとき、ふらつきや動悸などがあらわれたときは、すぐにご連絡下さい。
大腸カメラの合併症
頻度は低いですが、全国で以下の合併症が報告されています。
① 内視鏡による出血、穿孔
② 薬剤によるアレルギー症状(呼吸困難、血圧低下など)
③ 鎮静剤による呼吸抑制
④ 静脈注射による静脈炎
⑤ その他
大事に至らぬように万全の対応をいたしますが、上記のような合併症が生じた場合は、入院や緊急の処置、輸血、開腹手術を要する場合があります。
費用
大腸カメラ検査は基本的に保険適用で実施することができます。料金は下記の表をご参照ください。 使用する薬剤の有無、他検査の有無、組織検査の個数、大腸ポリープ・早期大腸がん切除の有無など、実際の診療内容によって金額は増減します。
3割負担 | |
初・再診料、血液検査 | 3000~5000円 |
①大腸カメラ検査のみ | 5000~10000円 |
②大腸カメラ検査+組織検査(必要時のみ) | 10000~15000円 |
③大腸カメラ検査+大腸ポリープ/早期大腸がん切除(日帰り手術、必要時のみ) | 25000~35000円 |
*(総額の例):初・再診料、血液検査+①大腸カメラ検査のみ 8000円~15000円
*1割負担の方は、上記費用の約3分の1となります。
*大腸ポリープを切除した際は、“内視鏡的大腸ポリープ切除術”という内視鏡手術を行った扱いになり、民間の医療保険の給付金支払い対象となる場合があります。加入している保険会社にお問い合わせください。